今年の夏はGMAのものだった──グッドウッドからモントレーへ続く“伝説の継承”

GMA

2025年の夏、自動車業界の“主役”は間違いなく”ゴードン・マレー・オートモーティブ(GMA)”だった。
グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード(FOS)では、ゴードン・マレーの偉大な設計キャリアを余すところなく体現する「Central Feature」によって、歴代の傑作——マクラーレンF1、ブラバムBT46B、T.50など——が一堂に会し、彼の自動車史が感動的な物語として描き出された。

その余韻を保ったまま迎えたモントレー・カーウィークでは、GMAの特別部門であるGordon Murray Special Vehicles(GMSV)が驚きの一手を披露。
グッドウッドで「歴史とレガシーを魅せた後」、ここモントレーでF1 GTRの現代的再解釈とも言える2台
──S1 LMLe Mans GTR──を突如発表したのだ。


GMSVが生み出した二台の“とんでもない”モデル

Le Mans GTR

Photo by: Gordon Murray Automotive

  • コンセプト:1950〜60年代のロングテール・ル・マンレーサーへのオマージュ。美と機能を兼ね備えたスタイリングで魅せる、真のマニアック・アプローチ。
  • 主要スペック:T.50の4.0ℓV12と6速MTを継承しつつ、新設計の車体・空力パーツ(巨大リアウィング、ディフューザー、Passive Boundary Layer Controlなど)を採用。グリップ性能と加速性能を高次元で両立。
  • 限定生産:ル・マン24時間にちなみ、わずか24台を生産(すでに完売)。

S1 LM

Photo by: Gordon Murray Automotive

  • コンセプト:1995年ル・マンを制したマクラーレンF1 GTRへの熱烈なリスペクト。だが単なる再現ではなく、「あまりにもF1 GTR的であり、しかも新しく美しい」リアルな再解釈。
  • 主要スペック
    • 専用開発の4.3ℓ自然吸気V12(約690hp、12,100rpm)を搭載。
    • 軽量化&剛性向上されたシャシー、ワイドトラック、大型空力パーツ、インコネル製エキゾースト(18金熱遮蔽付き)などを採用。
    • 顧客仕様のビスポークモデルで、5台がすでにオーダー済み、納車は2026年予定

私が最も心を打たれたのは、S1 LMだった

Photo by: Gordon Murray Automotive

それは、あまりにもF1 GTRそのものでありながら、同時に新しく、美しい。
ゴードン・マレーがF1に込めた「完璧なデザイン」が、数十年を経てもなお輝きを失わず、人々の胸を打つ理由を、このクルマは雄弁に物語っている。

「時代を超える不朽の美」──それこそが、元のF1が“完璧”だった所以であり、だからこそ今、現代的に再解釈されてもなお、これほどまでに心を揺さぶるのだ。

惜しむらくはこの名作も5台限定でありトラック専用というこのもあり直接目にする機会はほぼないだろうことだ。

Photo by: Gordon Murray Automotive


夏を通じて描かれた“歴史と未来”

この夏のGMAは、歴史と未来を二段構えで描き出した。

  • グッドウッドでは、ゴードン・マレーという“モノづくりの物語”を余すところなく提示。
  • モントレーでは、その物語の余韻を背に「再解釈という形での未来への宣言」を、2台の超絶限定モデルで表現。

これからも続くであろうGMAの挑戦は、単なる新型発表ではない。
それは、デザインと技術の“永遠の探求”であり、その中心にあるS1 LMはまさにレジェンドの復活と進化を体現している。

Photo by: Gordon Murray Automotive

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