McLaren W1 最新テクノロジーの塊

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W1が“真のスーパーカー”である理由

マクラーレンが「1」という称号を与えるクルマは、F1、P1、そしてW1。
このネーミング自体が、もはや覚悟の表明だ。

W1は、過去へのオマージュでも、流行への迎合でもない。
「現代における“リアルなスーパーカーとは何か”をゼロから再定義したクルマだ。

そしてこのクルマの凄さは、最高出力や加速性能といった“分かりやすい数字”では終わらない。
その本質は、構造・思想・制御を一体として設計し切っていることにある。


エンジン:MHP-8は「ただの新型V8」ではない

※画像出典:McLaren Automotive 公式サイト
https://cars.mclaren.com/

W1の心臓部は、マクラーレンが“完全新設計”と明言する MHP-8 V8

公式には
「新設計MHP-8 V8+軽量Eモジュール+F1由来バッテリー+8速DCT(Eデフ内蔵)」
という“システム全体”として語られている。

ここが重要で、
このクルマは「エンジン単体」で語れる存在ではない。

エンジンの基本構成

  • 90度V8
  • フラットプレーンクランク
  • ボア×ストローク:92.0mm × 75.0mm
  • レブリミット:9,200rpm
  • エンジン単体で約916hp
  • システム合計:1,275PS/1,340Nm

つまりこれは
“ハイブリッドで補ってるV8”ではなく、
ハイブリッドを前提に極限まで煮詰めたV8


冷却と軽量化が異常レベル

MHP-8の本質は、出力よりも“設計密度”にある。

  • ボア間隔を詰めるため、冷却水路を3Dプリントコアで最適化
  • シリンダーはライナーではなくプラズマ溶射
  • スターターモーター/オルタネーターを廃止

ここで重要なのは、
「軽くするため」ではなく
“構造を成立させるために軽くしている”点。

余計な補機を消し、
その役割をEモジュール側へ移譲する。

つまり、
エンジン単体を成立させるために
ハイブリッドを使っている。

この思想が、普通じゃない。


燃焼と過給の考え方も異質

燃料噴射はポート噴射+直噴の併用。

だが一般的な
「低回転=ポート、高回転=直噴」ではない。

W1はむしろ
低回転で直噴、高回転でポート噴射を追加する方向。

狙いは混合気形成と燃焼安定性の最適化。
ここにも「効率より質」を取る思想がある。

ターボはツインスクロール×2基。
さらに左右で回転方向を変える設計とされ、レスポンスと高回転域の伸びを両立している。


Eモジュールは“補助”ではなく構成要素

W1のハイブリッドは、いわゆる電動アシストとは別物だ。

  • ラジアルフラックスモーター
  • 最大回転数 約24,000rpm
  • 最大出力 約347PS
  • バッテリー容量 1.384kWh
  • 誘電体イマージョン冷却

これらはすべて、軽量・高出力・瞬間応答のために選ばれている。

さらに重要なのは、
Eモジュールが「始動」「発電」「補助駆動」すべてを担い、
スターターやオルタネーターを不要にしている点。

つまりこれは補助装置ではなく、
パワートレインの一部そのものだ。


8速DCTとE-Reverseという合理性

※画像出典:McLaren Automotive 公式サイト
https://cars.mclaren.com/

W1は8速DCTを採用し、さらにE-Reverse(電動後退)を組み合わせる。

後退用ギアを持たず、モーターを逆回転させて後退する。
これにより、

  • ギア構成が簡素化
  • 軽量化
  • 機械抵抗低減

という効果を同時に得ている。

さらに重要なのは、
1,340Nmという巨大トルクをどう扱うか

DCT単体では限界があるため、
電動トルクの使い方を工夫し、
クラッチに過大な負担をかけない設計になっている。

これは「モーターを足した」ではなく、
トルクの流れそのものを設計し直したということ。


駆動方式:あえてのRWD

W1はAWDではない。
レイアウトは明確に ミッドシップRWD

だが「気合いのRWD」ではない。

  • 電子制御デフ
  • 高度なトラクション制御
  • 空力によるダウンフォース

これらを統合し、
後輪だけで1,300Nm超を受け止める構造を成立させている。

AWDに逃げない。
だが無謀でもない。

この“攻め方”こそが、マクラーレンらしさだ。


空力:W1は“走る空力装置”

※画像出典:McLaren Automotive 公式サイト
https://cars.mclaren.com/

W1最大の特徴は、グラウンドエフェクト思想。

マクラーレン自身が
「F1マシン(MCL38)と同じ発想」と明言している。

  • 床下でダウンフォースを生む
  • 大きなウイングに頼らない
  • 可変エアロでモードに応じて形を変える

特にRaceモードでは、Active Long Tailが300mm伸長
ロード仕様の約5倍、1,000kg級のダウンフォースを発生させる。

空力が「固定形状」ではなく、
車両制御の一部として機能する点が異常だ。


Aerocell:空力のために“クルマの形”を捨てた

※画像出典:McLaren Automotive 公式サイト
https://cars.mclaren.com/

W1の土台は新設計のAerocellモノコック

  • フロントを極限まで絞る
  • フットボックスを高く
  • シートは固定式
  • ペダル側を動かしてポジション調整

つまり、
ドライバーがクルマに合わせる構造

これにより空力効率と剛性を最大化している。

しかもこのモノコックは、
プリプレグを手作業で積層する超低量産工法。

量産効率なんて一切考えていない。


シャシーと足回り:空力と一体で動く

※画像出典:McLaren Automotive 公式サイト
https://cars.mclaren.com/

W1は、

  • Race Active Chassis Control III
  • インボード式アクティブヒーブ
  • 3Dプリント×チタン部品
  • 前後ダブルウィッシュボーン

を組み合わせる。

目的はひとつ。
空力が最大効率で働く姿勢を保つこと。

硬いとか柔らかいではなく、
「空気が仕事できる姿勢」を作る。


ブレーキ:止まらなければ全部が無意味

  • 390mmカーボンセラミック
  • フロント6ピストン/リア4ピストン
  • 統合EPB

1,275PSを“使える性能”にするための装備。

※画像出典:McLaren Automotive 公式サイト
https://cars.mclaren.com/


開発思想:「どこでも走れるハイパーカー」

※画像出典:McLaren Automotive 公式サイト
https://cars.mclaren.com/

W1はサーキット専用ではない。

40℃超の砂漠で5,000km以上テストし、
昼夜ぶっ通しで解析を回す。

つまり、
性能だけでなく「使えること」まで作り込む


結論:W1は“電動化ハイパーカー”ではない

W1は、

  • 電動化で速くなったクルマ
    ではなく
  • 空力・構造・制御を軸に再定義された「思想の塊」

だ。

見た目でも、数字でもない。
「何を目指して作られたか」が、これほど明確なクルマはそうない。

だからW1は、
“いま最も正しいハイパーカー”に見える。

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